理事長所信

 

「ありがとう」があふれるまち箕面の創造

 

第52代 立見 祐樹

 

 

 

はじめに

 

 箕面市は7年連続で人口が増え続けており、特に子供や子育て世代の増加が多く見られ、住みよさランキングで5年連続大阪府第1位を獲得するなど、成長を続けています。その背景として、箕面は明治の森箕面国定公園を含む北摂山系の豊かな緑に育まれる昔から変わらない自然環境と、北大阪急行線の延伸や新駅の設置、新名神高速道路の開通など新しいインフラの整備、そして元々の治安の良さに加え市立小中学校の全通学路に防犯カメラを設置するといった安心できる住環境それぞれが織り交ぜられたまちであるからだと考えられます。さらにこれから日本全体の課題でもある人口減少・高齢化に対しても箕面市立地適正化計画を策定し、コンパクトなまちづくりに向けて都市計画を進めており、上記の人口増加やインフラの整備によりその動きは加速していくものと考えられます。このようにまちが成長を続ける中で住み暮らす人の環境にも変化が予想され、それはともすれば地域間コミュニティの減衰によりまちの成長を阻害する要素へと結びつく可能性があるため、地域社会に対して人々はしなやかに対応していかなければなりません。

 現在では時代の流れと共に家族や地域とのつながりが希薄化し、また個性やプライバシーの尊重が叫ばれる中、周りとのコミュニケーションを取らなくても暮らしていけたり、人任せにして誰かがやってくれるだろうという相手に対する思いやりの気持ちまで薄れたりするような社会構造へと変化してきています。箕面においても例外ではなく挨拶をしない、任された役割に対し責任を持って遂行しないなど、子供たちの社会性や規範意識に対する課題という形で表れています。これらは仲間との絆や地域との連携の意識を欠如させ、自分本位の人間を作り出すという負の連鎖になりかねません。このことを防ぐには個々の生活だけではなく地域社会との関わりを絶やすことなく持ち続けることが必要です。

 その時々で変わりゆく地域社会が直面している課題の解決に向け、今から50年前の1967年、日本で355番目の青年会議所として私たち一般社団法人箕面青年会議所(箕面JC)が誕生いたしました。先輩諸兄の創始より変わらぬ目的である「箕面の明るい豊かなまちづくり」に向けて、青年らしく情熱を持った行動力は今もなお受け継がれ、本年度は箕面JCの創立50周年を迎えます。そしてこれからも私たちは箕面のために歩み続けます。

 

「ありがとう」があふれるまち箕面を創造する

 

 平成24年度から毎年行われている箕面の子供たちの学力や体力に関する調査によると、学力面では全国平均を上回り良好な結果となっている一方で、みんなで協力して何かをやり遂げてうれしかったと感じる子供たちの割合が低いことや地域行事への参加、近所の人への挨拶など、社会性や規範意識が課題となっています。この社会性や規範意識を身に付けるために他者とのコミュニケーションを図る言葉の力が重要であると考えます。

 日本人は古事記に由来するように、稲作を通じて共に助け合うといった他を慮る文化や、自然を敬い、神への祈りを捧げるなど目に見えない物を大切にする文化を継承してきました。それは今も使われる「ありがとう」という言葉にも表れています。「人の生を享くるは難くやがて死すべきもの 今いのちあるは有り難し」これは法句経にある「ありがとう」の語源と言われる一節です。普段生活をしていく上で生きていることを当たり前にするのか、有り難いことにするのか視点一つ変えるだけで人や物に対する態度を変化させ、出会った人に自然と挨拶をして、感謝の気持ちを伝えたい時には素直にありがとうと伝えられるようになります。その運動の輪を広げることで得られる達成感が仲間との絆や自己の自信へと結びつき、それらが社会へのさらなる広がりへとつながり、好循環が生まれます。また感謝の気持ちを伝えることは相手に対する思いやりの心を育て、自分に対しても相手に対しても幸せを分けられるような心豊かな人を育み、波状となって街中に広がっていきます。子供から大人まで誰もが使える言葉一つひとつの扱いを大切にし、思いやりの心を持って「ありがとう」があふれるまち箕面を創造してまいります。

 

変わりゆくまちと変わらない目的を融合し持続していくことの大切さ

 

 1956年の市制施行から61年、阪急電鉄箕面線の沿線から始まった箕面市の市街化は西部地域から中部、東部、北部へと時代に合わせて常に変わっていきこれからも変化し続けていきます。人々の生活のスタイルも同様で家電やITの登場で10年前には無かったものが生活必需品になるなど常に変わってきました。このような生活の変化は家族や社会とのつながりも変えていき、今では物質的な豊かさから心の豊かさを求める時代になったとも言われています。

 私たち箕面JCは変わらない目的である「箕面の明るい豊かなまちづくり」を目指して、創始の時より箕面の地域が抱える課題の解決に向けその時に必要とされる事業を行ってまいりました。本年度は地域の絆と心の豊かさを通してひとづくり、まちづくりへとつなげるために「ありがとう」をテーマとした50周年記念式典を開催いたします。

 これまで箕面のまちがどのように変わってきたか、それに対して箕面JCがどのような運動を展開してきたかを振り返ることで、これからも変わり続けるまちづくりへの推進力へとつなげるとともに、長きに渡り私たちの活動を支えていただいた周りの皆様へ「ありがとう」の気持ちを伝えます。またこれからも変わらぬ絆で共に進み、協働での取り組みをおこない、箕面の地域ブランドを発信してまいります。

 

これからの箕面を支える子供たちの心身を育む

 

 箕面の子供たちは難しいことでも失敗を恐れず挑戦すると答える割合が年々高くなってきており、それらを発揮する機会があればそのチャレンジ精神をもっと色々なものに対して出していけるものと考えます。一方で子供たちの体力については依然として課題とされており、体力の向上とチャレンジ精神を発揮する機会を提供するために、近隣の諸団体とも連携して第3回わんぱく相撲箕面場所を開催いたします。体を動かすことの楽しさを知ることで日々の運動習慣へとつなげるとともに、これからのまちづくりを担っていく子供たちに必要な日本人としての自覚と責任や品格、他を慮る道徳心を育みます。また子供たちが将来において、自らが率先して社会へと参画していくために政治経済の知識や社会の仕組みを伝え、自分達の行動で社会を変えられるという意識を持つリーダーとしてこれからの箕面を支えていけるよう、地域が一体となった青少年の健全育成に取り組んでまいります。

 

率先して動き出す地域リーダーを育成する

 

 青年会議所の役割の一つにJCI Missionの一節である「to create positive change」つまり「より良い変化をもたらす機会の提供」をおこなうことが挙げられますが、機会の提供から先についてはそれぞれのメンバーが能動的に活動して自ら掴んでいく必要があります。その姿勢が変わりゆく時代の潮流を捉えるエネルギーとなり、周りに対してより良い変化をもたらす循環を生み出します。

 さらにメンバー同士の連携はもちろん、国内外の青年会議所や諸団体との交流を図ることで、メンバー一人ひとりが様々な角度から物事を考えられる柔軟性と、言葉だけではなく心で通じ合えるよう相手に対する思いやりの心を育て、人の手本となり、地域を引っ張っていけるようなリーダーの育成が必要だと考えます。

 青年会議所の目的や理念に共鳴し、自発的な意思と情熱をもって入会したメンバーが「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」の三信条を基礎に同期の仲間とともに切磋琢磨し、箕面はもちろん青年会議所のネットワークを活かして自分の活躍の場を広げるとともに、メンバー一人ひとりが「今しかできないことがある、自分にしかできないことがある、だから今自分がやるんだ」という気概と関わる全てのものに対して「ありがとう」という気持ちを持って、JC運動・活動に率先して動き出す地域リーダーの育成に取り組んでまいります。

 

志を同じくする仲間を増やす

 

 人と人が出会った時に生まれる力というのはその人の数以上の力を発揮することがよくあります。なぜなら人は人のために活動する方が自分のために活動するよりも力を入れられる社会的動物だからです。また一人ひとり異なる角度から青年会議所の活動を見つめることでそれぞれの意見を尊重し、それが新たな気づきとなり自己の成長へとつながるとともに箕面JCの成長へとつながります。志を同じくする仲間が多ければ多いほど成長の機会が増えることはもちろん、人の数は発信力の数でありそれだけ周りの人に対してより良い変化をもたらす機会の提供をおこなうことができます。

 青年期の貴重な一年を50周年という発信力のある本年から多くの方に体験していただき、志を同じくする仲間を増やすべく、入会の前に定例会や事業などに参加していただき、対外の方と私たち箕面JCが触れ合える機会の提供を行います。

 これからも箕面のまちづくりを続け、地域リーダーを輩出し続けていくために、会員の拡大活動をおこなってまいります。

 

一つの方向に導く組織力を作る

 

 私たちが永続的に活動してこられたのは、組織の運営をしっかりと正しい方向へ導いてきた積み重ねによるものです。これまでと変わることなく、規則規律を遵守し手本となる人材を育て、信頼される組織づくりをおこなってまいります。また同時に地域リーダーとして人々の模範となる姿や私たちの活動を広く発信し伝えていくことで、多くの人が刺激を受け、能動的にまちづくりへと参加する人を増やすとともに、これまで培われてきた信頼をもとに地域の皆様と絆で結ばれるJC運動・活動に取り組めるよう、箕面JCのブランディングへとつなげます。

 

むすびに

 

 これまで半世紀もの長きに渡り、私たち箕面JCを支えていただいた全ての皆様にありがとうという感謝の気持ちをお伝えするとともに、メンバーが率先して周りの人を幸せにし、それを受けた人が次の人へ輪を広げていく「ありがとう」があふれるまち箕面の創造に向けて、全力で取り組んでまいります。

 

 

 

「スローガン」 「ありがとう」があふれるまち箕面の創造

「基本理念」  人の幸せを願うために、自らが幸せな人になる

「基本方針」  to create positive change

「行動指針」  ①「ありがとう」があふれるまち箕面を創造する事業の実施

        ②変わりゆくまちと変わらない目的を融合し持続していくことの大切さを知る事業の実施

        ③これからの箕面を支える子供たちの心身を育む事業の実施

        ④率先して動き出す地域リーダーを育成する事業の実施

        ⑤志を同じくする仲間を増やす事業の実施

        ⑥一つの方向に導く組織力を作る事業の実施